お知らせ

News

2021.11.08

各種研究会


 今日の貨幣制度は、現代資本主義の資本蓄積に適合的に形成されている。他方で、それは同時に不安定性の根源でもある。1971年の金ドル交換停止以後、資本主義の貨幣制度は大きく転換した。

 その中心をなすのは、17世紀末のイングランド銀行の創設に始まる中央銀行制度であり、それと密接に連携する財政の仕組みである。今日、金融財政政策が行き詰まっていることは周知のことと思われるが、それは従来の経済学の枠組みそのものが現在の金融財制度の有様を適切に理論化できていない、ということの現れでもある。

 本報告では、そのような問題意識を踏まえ、現代資本主義において貨幣とは何かという問題をその根源に遡って考え、そのうえで、貨幣・金融制度を財政制度との関わりで再検討することを課題とする。

 本報告での貨幣の捉え方は、貨幣を債務と捉える債務貨幣論である。その視点から、民間の経済主体に対しては、銀行預金が決済手段として機能し、その銀行間決済には中央銀行当預がそれを支えるという重層的な債務貨幣の構造を分析する。中央銀行当座預金は、同時に財政支出、収入の手段であることによって、債務のヒエラルキー構造を最終的に支えている。その意味で、現代資本主義の貨幣制度は、その根底に国家権力の存在を前提としているとみる。